校長通信「響きあう学校」

校長通信 響き合う学校 2015年度 修了式式辞

修了式式辞 

季節は巡り、今年も色とりどりの花々が「春」の訪れを告げています。今日で平成27年度が終了します。

 昨日、2年生の人が“今日は楽しかった”といって帰っていきました。1年生の人もこの1週間の行事が楽しく、しかも勉強した、といっていました。学びの形にはいろいろあります。是非、こうした学びに、今後も積極的に参加して欲しいと思います。

 さて皆さんは、4月になるとそれぞれ1学年づつ進級します。今日皆さんに渡される通知表の校長印の一つ一つは私が自ら押印しました。たった一つの押印ですが皆さんへの期待をこめた押印です。担任の先生のメッセージとともに受け取って下さい。  今日は家へ帰ったら通知表をじっくり見て下さい。そして1年の振り返りをして下さい。学習面での取り組みはどうだったのか、部活動での取り組み、クラス、学年での活動、学校行事での取り組み、そして家でのお手伝い、それぞれについて振り返りをしてみて下さい。今日のうちに平成28年度の課題を見つけ、目標をつくり、新しい学年に備えてください、  春休み中も家庭学習は必ずして下さい。部活動に入っていなければ授業時間と同じ6時間以上を目標に取り組んで下さい。部活動等がある人も最低でも3時間以上学習することを目指して下さい。

 学習することを今まで以上に挑戦して下さい。

 今年の卒業式答辞のテーマは挑戦でした。

少し、紹介します。最初の部分です。

「今ここに 空果てしなく 今ここに 夢を始める」

新しい世界への期待で胸をふくらませながら、ここで校歌を聞いた日から、三年が経ちました。

 私たちにとってこの三年間は「挑戦」の連続でした。リーダーとしての「挑戦」、行事への「挑戦」、 自主活動や勉強への「挑戦」。その中で私たちは、人とのつながりと話し合うことの大切さを学んで来ました。

そして行事、部活動、自主活動への挑戦体験を代表生徒は語ります。

私たちは行事を通して、仲間とぶつかりながら共にひとつのことをやり遂げた、という達成感を得ることが出来ました。人間の弱さや醜さに悩んだこともたくさんありましたが、この達成感は、これから社会に出る私たちの自信にも繋がると思います(一部略)。

 部活動の練習はとてもつらかったけど、続けられたのは仲間がいたからです。苦しみや喜びを分かち合える存在と出会えたことは、私たちにとって最高の財産となりました。

私たちは高校生フェスティバルの活動にも積極的に参加し、教育の公平を社会に訴えてきました。選挙権が十八歳に引き下げられ、この夏に初めての選挙があります。安城学園で培ってきた「考える力」で積極的に参加したいと思います(一部略)。

私たち六組の挑戦は大学受験でした。「勉強は団体戦」が、みんなの合言葉でした。

私のクラスには、まだまだこれから受験する仲間が何人もいます。今までやってきたことを信じて、全力でぶつかってきてほしいと思います(後略)。

 私たちにとってこの三年間は「挑戦」の連続でした。で始まった答辞、生きることや挑戦することの大切さを教えてくれた答辞、是非、卒業生の思いを受けて皆さんには今日、ここからまた新しい挑戦を始めることを期待します。答辞では東日本大震災に関しても触れ、これからも繋がっていきます、と語りました。被災した人たちの痛み、悲しみ、絶望感、孤独感を自分のこととして受け止めるためにも皆さんには被災地のことを忘れないで、そしてこれからも繋がった活動に参加していって欲しいと願っています。

 人は皆ダイヤモンドの原石のようなものです。磨けば燦然と輝きますが、磨く努力をしなければただの石ころで終わってしまいます。高校時代は自分を磨く時代です。人は皆、挫折や苦しみを乗り越えて強くなっていきます。

光る  光る  すべては光る

 光らないものは ひとつとしてない

  みずから 光らないものは

 他から 光を受けて 光る

   坂村真民さんの「すべては光る」という詩です。

楽ではない方向、自分を鍛える方向、人々が元気になる方向へ一歩一歩進んで下さい。  4月6日には新入生の皆さんが入学してきます。皆さんは、「先輩」と呼ばれる立場になります。どんな先輩になって欲しいかを伝えておきます。

 一つは、「尊敬される先輩となってほしい」「尊敬される先輩」とは、礼儀、マナーをわきまえ、時と場所に応じて適切な行動や発言ができる先輩のことです。挨拶、電車の中でのマナー、自転車や通学途上のマナー、そして落ちているゴミをひろうなどなど是非、実践して欲しいと願います。“さすが先輩”と一目おかれる先輩を目指すということです。二つ目は「信頼される先輩となってほしい」ということです。「信頼される先輩」とは、どんなときでも、丁寧に対応し、教え合う励まし合い、高め合い、協力を惜しまない先輩です。「何か困ったことがあったらこの先輩に相談してみよう」と感じさせるような先輩を目指すということです。三つめは「愛される先輩となってほしい」ということです。「愛される先輩」とは、 懐の深い、すべてを受けとめることのできる先輩です。「あの先輩のようになろう」と目標にされるような先輩を目指すということです。  尊敬される先輩、信頼される先輩、愛される先輩になっていくために、明日からの春休みを使って下さい。勉強する、本を読む、部活動に打ち込む、長期の休みは集中して取り組めるということです。

 今年の春休み、2年生は18日間、1年生は19日間です。素晴らしい、充実した18日間、19日間になることを期待しています。

そして皆さんが安城学園高等学校の先輩として、尊敬され、信頼され、愛される先輩として新入生を迎えてくれることを期待しています。

 今年最後に贈る詩は本校の学園の歌の作詞者でもある谷川俊太郎さんの「明日」という詩です。明日という意味を考えるきっかけにして下さい。

【明日 谷川俊太郎】

ひとつの小さな約束があるといい    

明日に向かって ノートの片隅に書きとめた時と所    

そこで出会う古い友だちの新しい表情 ひとつの小さな予言があるといい    

明日を信じて テレヴィの画面に現れる雲の渦巻き  

〈曇のち晴〉天気予報のつつましい口調 ひとつの小さな願いがあるといい    

明日を想って 夜の間に支度する心のときめき     

もう耳に聞く風のささやき川のせせらぎ ひとつの小さな夢があるといい     

明日のために くらやみから湧いてくる未知の力が   

私たちをまばゆい朝へと開いてくれる だが明日は明日のままでは       

いつまでもひとつの幻 明日は今日になってこそ        

生きることができる ひとつのたしかな今日があるといい   

明日に向かって 歩き慣れた細道が地平へと続き     

この今日のうちにすでに明日はひそんでいる

平成28年3月18日 安城学園高等学校長 坂田成夫