校長通信「響きあう学校」

校長通信 響き合う学校 2015年12月号

H27年12月号

響きあう学校      安城学園高等学校だより2015.12.16(木)第151号

安城学園高等学校長 坂田 成夫

【あなたはだんだんきれいになる 高村光太郎】

を(お)んなが 付属品を だんだん棄(す)てると
どうして こんなに きれいになるのか。
年で洗われた あなたのからだは
無辺際(むへんさい)を飛ぶ 天の金属。
見えも外聞も てんで 歯のたたない
中身ばかりの 清冽な 生きものが
生きて動いて さつさつと 意慾(いよく)する。
を(お)んなが を(お)んなを 取りもどすのは
か(こ)うした 世紀の修行によるのか。
あなたが 黙って 立ってゐ(い)ると
まことに 神の造りしものだ。
時々 内心 おどろくほど
あなたは だんだん きれいになる

【今月の作者と詩 高村光太郎】 
 東京都下谷生まれ。本名は光太郎(みつたろう)。彫刻家高村光雲を父に持ち自らも彫刻の道を志す。23歳で渡米。ニューヨークで1年の留学生活を過ごした後、ロンドン、パリへと移り住み26歳で帰国。1914年、詩集『道程』を出版。同年智恵子との結婚生活が始まる。智恵子は1938年、長い闘病生活の後に死別。1941年発行の詩集『智恵子抄』は代表作。光太郎は1956年73歳で人生の幕を閉じる。紹介した詩は智恵子抄の中に収められた一編です。「レモン哀歌」と並んで私の好きな一編です。

【大海の一滴 マザーテレサの言葉】
 大海の一滴とは“海の中の一滴の水のように、非常に広大な所にきわめて小さなものがあるというたとえ”です。とるにたらない、存在という意味で使うことが多くあります。
 しかしマザーテレサは、何千人万人もの人が貧困と飢餓のなかで苦しむインドで、わずかな人たちだけを救っても意味がないのでないかという批判に対して次の言葉で返しています。
「わたしたちのすること大海のたった一滴の水にすぎないかもしれないが、その一滴の水が集まって大海になるのです。もし、わたしたちが、今していることをやめれば,大海は一滴分少なくなるのです。」
 マザーテレサの活動は、全体を見る事からではなく、いつも目の前にいる人の苦しみとどう共感するかから始まっています。全体を見る事は大切なことですが目の前で苦しんでいる人たちをどう救っていくかということも重要なことです。「大海の一滴」を意識して生きることは重要です。

【烏(からす)の北斗七星】
 宮沢賢治の童話で『烏(からす)の北斗七星』という話があります。主人公は烏の軍隊の大尉で、山烏との戦いを前に、「わたくしが勝つことがいいのか、山烏が勝つのがいいのかそれはわたくしにわかりません」と悩みます。それでも戦いが始まると敵の真っ黒な頭(かしら)を一撃し、殺してしまいます。大尉はその功績で少佐に昇進しますが、上官に死骸(しがい)を葬る許可を得ると、烏の世界の北斗七星を仰ぎ、「どうか憎むことのできない敵を殺さないでいいように早くこの世界がなりますように、そのためならば、わたくしのからだなどは、何べん引き裂かれてもかまいません」と嘆きます。
 2011年3月に始まったシリアでの内戦で死んだ人の数は4年9ヶ月で25万人を超えています。パリでの同時多発テロ以降、フランスに続き、イギリスもISへの空爆に参加しています。空爆の下では必ず死ぬ人が出ています。鳥(からす)の北斗七星の主人公が願う世の中を早急につくること、これが私たちに課せられています。

【師走の語源】
 12月を表す言葉である師走、言葉の由来は僧(師)がお経をあげるために東奔西走する姿からという説が有力です。平安時代末期に書かれた辞書にはこの説が記されているそうです。ただ、「年が果てる」意味の「年果(としはつ)」が変化したという説もあります.師走は何かと忙しい時期ではありますがやるべきことはきちんとやりたいものです。

【デンパークの中のレストランの社長 Mさんの話】
 今、おいしいと評判の安城ハムの製造販売をするMさん、出会ってまだ3年目ですが、お世話になっています。今年の夏も昨年に引き続き東北の被災地へハムを送って頂きました。デンパーク内での店舗では東北の物産を扱い、被災地の復興の応援をしています。
 年末に市民がつくる「西三河願い事カウントダウンフェスタinデンパーク」でも中心的な活動をしています。社会のために,人のために汗を流す人をみると勇気が湧いてきます。 

【新聞のコラム(地球に礼節を 長崎新聞コラム12月7日)】
「衣食足りて礼節を知る」と古書にある。経済学者、佐和隆光氏は著書「地球温暖化を防ぐ」(岩波新書)で、経済成長を達成して、ようやく環境問題に目を向ける余裕ができたときの日本社会の態度を「衣食足りて礼節を知る」になぞらえた。氏は同時に、そもそも環境保全と経済成長は両立させるべきもので、「衣食を確保するためには、礼節を忘れても仕方がない」という誤った考え方の広まりに懸念を示した.先進国でも、発展途上国でも、地球環境に対する配慮を忘れたら、経済そのものが立ちゆかなくなる。礼節あっての経済成長だ。パリで開催中の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が、2通りの礼節知らずの争いの場に見えて仕方ない。衣食足りてもなお礼節をわきまえようとしない先進国と、「まだ衣食が足りてないから、礼節など知るもんか」と居直る途上国だ。どちらも、環境破壊が自分たちの首を絞めていることに気付かない。COP21合意案が、7日からの閣僚会議で議論される。先進国と途上国の主張には隔たりがあり、成り行きは不透明だ。議論を始める前に、みんなで地球に向かって頭(こうべ)を垂れてみてはどうだろう。ここは争いの場ではなく、地球と対話する場だと知れば、解決の道筋は自然に見えてくるはずだ。

【12月の読書「NHK100分de名著 兼好法師 徒然草(NHK出版)荻野文子」1000円】 
 NHKテレビテキスト「100分de名著」の保存版として発刊されています。すでに50冊以上発売されています。番組は毎週水曜日の10:00にEテレで放送されています。今週は「良寛」です。
 徒然草は名著ですが全文をあらためて読んでみることをお勧めします。本の帯に“世の中はせちがらい。だから身軽に生きるのだ。”と書いてありました。わかりやすい解説もあり、古典が身近なものに感じることができると思います。何よりも昔の人と今の人が思うこと、考えることは同じだと言うことがよくわかります。長い歴史がつながって今がある、そう思える一冊でした。

【1月の主な行事】
1月7日(木)始業式 1年•2年推薦試験(1/7.8)
1月9日(土)PTA役員会
1月16日(土)土曜講座 センター試験(16.17)
1月20日(水)針供養 
1月22日(金)創作活動発表会
1月23日(土)第3回英語検定
1月24日(日)全商簿記実務検定試験
1月25日~29日 3年生第5回定期試験
1月28日(木)推薦入学試験 生徒家庭学習